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福祉関係者がさらに4〜50万人必要であり、介護保険制度の実施が、より一層のヘルパー等のニーズを高めるものと推定している。そして、今後必要とされるヘルパー等マンパワーが実現するためには、自治体等の公的負担で抱えられるより、むしろイギリス、ドイツ等に見るように民間の企業や非営利団体に所属する人材となると考えられる。
イ 施設整備
また、今後の施設整備については在宅ケアが推進されるとしても、ある程度の規模が必要とされる。施設関係は2000年時点で整備される特別養護老人ホーム、老人保健施設、ショートステイ・ケアハウス等は合わせて75万人分に満たない。高齢者100人当り3.36人分である。数年前から在宅介護重視のスウェーデンでは、ナーシングホーム、長期療養施設、サービスハウジング、グループホームに住む高齢者は高齢人口の約7%となっている。わが国の場合これを補うのは福祉マンパワーと同様に、民間の非営利団体や企業等による社会全体の福祉産業の発展でしかないとも考えられる。現在のイギリス等では、自治体所有のナーシングホームすらもボランタリー団体や企業に運営委託(コントラクト:運営委託、サービス提供の購入などの契約)している場合が多くなっているが、高齢者福祉医療については全て公的サービスで行ってきたスウェーデンでも1995年頃からこのコントラクト方式が見られるようになっている。福祉サービスが公的サービスのみではなく、いわゆる「福祉ミックス」(福祉サービス供給方式の多様化)によるニーズ拡大に対する供給の拡大化が進んでいくことが、今後の高齢化先進国の状況と考えられる。

 

<介護保険制度>
1996年末現在、政府が2000年度スタートを目指している介護保険制度は、寝たきりや痴呆になった高齢者へのホームヘルパー派遣や特別養護老人ホーム入所などのサービスを40歳以上の国民が提供する保険料によって賄おうという方式で、この制度の運用にかかる費用は2000年時点では4兆2,000億円、一人当たり月2,500円程度の保険料負担が見込まれている。但し、2010年では、高齢人口が約600万人さらに増加するため、運用費は6兆9,000億円、保険料負担は一人当たり月3,500円と約1,000円アップする。

 

(3)新しい社会セクターの形成
人々が生活にゆとりを持ち、元気な高齢者が増加することで、今後急速に社会活動は活発化することが予測される。
既に、全国各地でその地域社会に根ざした様々な社会活動が展開されつつあるが、その多くは未だ趣味、余暇の節中であり、自治体の支援も少なくない。
また、欧米では社会セクターとして不可欠なボランタリー・セクターが、わが国では未成

 

 

 

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